私は。
私は騎士となるべく育てられた。
我が家は代々王立騎士団に属する騎士の家系であったから。
家では剣の修行を。
王立学院では学問を。
それぞれ納めている最中だった。
ある日のこと。
私は友人達を誘って、ジャグナーまでチョコボの遠乗りに行こうと提案した。
騎士にとってチョコボを乗りこなす事は必須であるし、
そんなしゃちほこばった理由ではなく、ただ日々の勉学に疲れてみんなと
気晴らしがしたかっただけかもしれない。
いずれにせよ、私たち十数人はジャグナーへと向かい、
気配を感じた時はオーク達に囲まれ、
そして意識を取り戻した時はダボイにいた。
「ねぇ。
獣人についてはボクもこのクォン大陸のものしか
詳しくないんだけどね。
知っているかい?
彼らの風習について。風習。。んん。。生態系というか?
まずサハギンやアンティカ、クゥダフは卵生だ。
ヤグード達は現人神の決めた相手と結婚し、つがいになる。
ゴブリン達は他の種族の血を混ぜるのを好まないので、
基本的には自由恋愛で結婚するようだよ?
でね、オークだけはちょっと特殊だね。
兵士種のものはオーク同士で結ばれると生まれやすい。
そして。
魔道士種のものは、他種族との混血で生まれやすいんだよ。
そう。
オークだけは、混血を好むのさ」
やめて。
もうなにもききたくない。
こわれる。
高笑い。
腐臭。
悲鳴。
狂笑。
嗚咽。
「クリスタル大戦中は、ダボイはオーク共の巣じゃなかった。
ラヴォールっていう小さな村があってね?
細々と暮らす村人と、修道院があったんだ。
みんな敬虔にアルタナを信じ、慎ましく暮らす模範的な人達だった。
そこにオークの精鋭軍団が進入し、この大陸への橋頭堡とした。
ああ!あの時の村…そう、特に修道院ときたらね?ジョナサン。
この世の地獄だったよ!あっはははあははははは!!
。。。あぁ。
無論、キミにも想像はつくだろうけど。ね?」
高笑い。
腐臭。
悲鳴。
狂笑。
嗚咽。
こわれた。
わたしがこわれたときのこと。
地獄だった。
私が今生きているのはただの僥倖。
たまたま、本当にたまたま掠われた数週間後が
王立騎士団の定期的なダボイ攻略戦だったというだけ。
ある友人は既に息をしていなかった。
ある友人は、もう人間として生きることができなくなっていた。
ある友人は救助される事を拒んだ。人をやめた。
そして私は意識と記憶が混濁したまま
騎士団付の白魔道士に付き添われ、王国へと戻れた。
罵られ、なじられ、疎まれた。
お前が遠乗りなどと言い出さなければ。
どうして私の娘は死んで、あなたは生きているの?
お前が死ねば良かった。
家名に泥を塗った屑が。
老翁が亡くなって、すぐにサンドリアを出た。
冒険者になれば、誰も私のことを知らない。
知られたくない。
膝が笑う。
立てない。
「オークの魔道士達は仮面を被っているよね?革の出来の悪い品だ。
あれの下は。。そう。
混血させられた側の顔が主に遺伝するからね。
隠さざるを得ないんだ。ね?知っているよねジョナサン。
だってキミはそれをその目で見たものね。」
蹲る。
頭を抱える。
「キミは本当に白魔道士になりたかったの?
今でもなりたいと。
これからも白魔道士として生を全うしたいと。
そう思っている?
違うよね?
君の目は冥い。
底知れない深淵を覗いた者だけが持てる、素敵な目をしている。
ねえ。本当はさ。
殺したいんだよね?」
殺したい。
「自分を汚した連中を。
見捨てた連中を。
罵った連中を。
いや、本当は全てを。
自分自身をも殺したいんだろう?」
殺したい。
焼き尽くしたい。
凍らせ、砕きたい。
切り刻みたい。
癒しなんてしたくない。
殺して汚して穢して大地に這いつくばらせたい。
そして。
最後は自分も消したい。
「ねえ?ジョナサン。
自分の生命力と引き替えに相手を切り刻む、そんな闘技があるよ?
キミにはとても似合うと思うんだけど、どうだろうね?
そんなワンドやローブはキミに似合わない。キミを貶めているだけだ。
鎌、大剣、相手の生命力を手づかみにして吸い取る魔法。
そういうのが、キミには似合っている。
血で染まる甲冑。それが乾いた上にさらに塗り重ねられる血。
何よりもキミの美しさを引き立てると思うんだけどね。ボクはさ。
ねえ。うんと言っておくれ?そんな虚ろな目のキミを、
ボクは放っておけない。本来のキミの姿に。
そう。もっと綺麗なジョナサンになって欲しいのさ!
あははははははっっ!」
そこまでが意識の限界だった。
そして。
おそらく私は、「それ」を望んだのだろう。
次に気がついた時はバストゥーク行きの飛空挺に乗っていた。
飛空挺パスなんて高価な物は当然持っていないので、
自分で乗れたはずもない。
が、私の鞄には私名義の飛空挺パスが入っていた。
それから数年し、
再び私はル・ルデの庭にいる。
白魔道士ではなく、暗黒騎士として。
あれから何度もジュノを訪れたが
彼に再び出会うことはなかった。
でも、きっといずれまた会うだろう。
そんな気がするから。
その時、私が死ぬのか彼が死ぬのか。
どちらでもいい。
切り結びながら、笑いながら、殺したい。殺されたい。
それが私の夢。
旅を続ける理由。
私は騎士となるべく育てられた。
我が家は代々王立騎士団に属する騎士の家系であったから。
家では剣の修行を。
王立学院では学問を。
それぞれ納めている最中だった。
ある日のこと。
私は友人達を誘って、ジャグナーまでチョコボの遠乗りに行こうと提案した。
騎士にとってチョコボを乗りこなす事は必須であるし、
そんなしゃちほこばった理由ではなく、ただ日々の勉学に疲れてみんなと
気晴らしがしたかっただけかもしれない。
いずれにせよ、私たち十数人はジャグナーへと向かい、
気配を感じた時はオーク達に囲まれ、
そして意識を取り戻した時はダボイにいた。
「ねぇ。
獣人についてはボクもこのクォン大陸のものしか
詳しくないんだけどね。
知っているかい?
彼らの風習について。風習。。んん。。生態系というか?
まずサハギンやアンティカ、クゥダフは卵生だ。
ヤグード達は現人神の決めた相手と結婚し、つがいになる。
ゴブリン達は他の種族の血を混ぜるのを好まないので、
基本的には自由恋愛で結婚するようだよ?
でね、オークだけはちょっと特殊だね。
兵士種のものはオーク同士で結ばれると生まれやすい。
そして。
魔道士種のものは、他種族との混血で生まれやすいんだよ。
そう。
オークだけは、混血を好むのさ」
やめて。
もうなにもききたくない。
こわれる。
高笑い。
腐臭。
悲鳴。
狂笑。
嗚咽。
「クリスタル大戦中は、ダボイはオーク共の巣じゃなかった。
ラヴォールっていう小さな村があってね?
細々と暮らす村人と、修道院があったんだ。
みんな敬虔にアルタナを信じ、慎ましく暮らす模範的な人達だった。
そこにオークの精鋭軍団が進入し、この大陸への橋頭堡とした。
ああ!あの時の村…そう、特に修道院ときたらね?ジョナサン。
この世の地獄だったよ!あっはははあははははは!!
。。。あぁ。
無論、キミにも想像はつくだろうけど。ね?」
高笑い。
腐臭。
悲鳴。
狂笑。
嗚咽。
こわれた。
わたしがこわれたときのこと。
地獄だった。
私が今生きているのはただの僥倖。
たまたま、本当にたまたま掠われた数週間後が
王立騎士団の定期的なダボイ攻略戦だったというだけ。
ある友人は既に息をしていなかった。
ある友人は、もう人間として生きることができなくなっていた。
ある友人は救助される事を拒んだ。人をやめた。
そして私は意識と記憶が混濁したまま
騎士団付の白魔道士に付き添われ、王国へと戻れた。
罵られ、なじられ、疎まれた。
お前が遠乗りなどと言い出さなければ。
どうして私の娘は死んで、あなたは生きているの?
お前が死ねば良かった。
家名に泥を塗った屑が。
老翁が亡くなって、すぐにサンドリアを出た。
冒険者になれば、誰も私のことを知らない。
知られたくない。
膝が笑う。
立てない。
「オークの魔道士達は仮面を被っているよね?革の出来の悪い品だ。
あれの下は。。そう。
混血させられた側の顔が主に遺伝するからね。
隠さざるを得ないんだ。ね?知っているよねジョナサン。
だってキミはそれをその目で見たものね。」
蹲る。
頭を抱える。
「キミは本当に白魔道士になりたかったの?
今でもなりたいと。
これからも白魔道士として生を全うしたいと。
そう思っている?
違うよね?
君の目は冥い。
底知れない深淵を覗いた者だけが持てる、素敵な目をしている。
ねえ。本当はさ。
殺したいんだよね?」
殺したい。
「自分を汚した連中を。
見捨てた連中を。
罵った連中を。
いや、本当は全てを。
自分自身をも殺したいんだろう?」
殺したい。
焼き尽くしたい。
凍らせ、砕きたい。
切り刻みたい。
癒しなんてしたくない。
殺して汚して穢して大地に這いつくばらせたい。
そして。
最後は自分も消したい。
「ねえ?ジョナサン。
自分の生命力と引き替えに相手を切り刻む、そんな闘技があるよ?
キミにはとても似合うと思うんだけど、どうだろうね?
そんなワンドやローブはキミに似合わない。キミを貶めているだけだ。
鎌、大剣、相手の生命力を手づかみにして吸い取る魔法。
そういうのが、キミには似合っている。
血で染まる甲冑。それが乾いた上にさらに塗り重ねられる血。
何よりもキミの美しさを引き立てると思うんだけどね。ボクはさ。
ねえ。うんと言っておくれ?そんな虚ろな目のキミを、
ボクは放っておけない。本来のキミの姿に。
そう。もっと綺麗なジョナサンになって欲しいのさ!
あははははははっっ!」
そこまでが意識の限界だった。
そして。
おそらく私は、「それ」を望んだのだろう。
次に気がついた時はバストゥーク行きの飛空挺に乗っていた。
飛空挺パスなんて高価な物は当然持っていないので、
自分で乗れたはずもない。
が、私の鞄には私名義の飛空挺パスが入っていた。
それから数年し、
再び私はル・ルデの庭にいる。
白魔道士ではなく、暗黒騎士として。
あれから何度もジュノを訪れたが
彼に再び出会うことはなかった。
でも、きっといずれまた会うだろう。
そんな気がするから。
その時、私が死ぬのか彼が死ぬのか。
どちらでもいい。
切り結びながら、笑いながら、殺したい。殺されたい。
それが私の夢。
旅を続ける理由。
コメント
Colmさんの文章には、何故だかいつも惹きつけられてしまいます
...(*'-')
...(*'-')
ウゴゴ
どこか間抜けだったり交渉の余地があったりと憎めない獣人達
でもオーク、こいつらはガチで嫌いです
ほんっとーにただの侵略者なんですよね…
マジでどうにか叩きだしてやりてーッス、サンドリアの皆様頑張っテ!!
しかしグロいとこついてくるなあ…設定集見てたら一日潰れてる人の筈w
でもオーク、こいつらはガチで嫌いです
ほんっとーにただの侵略者なんですよね…
マジでどうにか叩きだしてやりてーッス、サンドリアの皆様頑張っテ!!
しかしグロいとこついてくるなあ…設定集見てたら一日潰れてる人の筈w
今度、オーク倒したら仮面ひっぺがしたい誘惑に…。
ああ!やっぱやめとこう。
もし、あの仮面の下にタルタルの顔があったら…。
違った意味で恐怖だ!
ああ!やっぱやめとこう。
もし、あの仮面の下にタルタルの顔があったら…。
違った意味で恐怖だ!
こんにちわ〜
今回の読み物もなかなかすばらしい出来ですね〜
私にはちょっと衝撃的だったけどそこがまたなんといっていいか
ホラー映画でいう、衝撃的なシーンで思わず顔を隠しちゃうけど指の間からチラ見しちゃうみたいな・・・
事後報告なのですが・・・私のブログでcolmさんのブログ紹介しちゃいました
すいません!
もしおいやでしたら・・・いってください・・・
今回の読み物もなかなかすばらしい出来ですね〜
私にはちょっと衝撃的だったけどそこがまたなんといっていいか
ホラー映画でいう、衝撃的なシーンで思わず顔を隠しちゃうけど指の間からチラ見しちゃうみたいな・・・
事後報告なのですが・・・私のブログでcolmさんのブログ紹介しちゃいました
すいません!
もしおいやでしたら・・・いってください・・・
怖い・・・((((゜Д゜;))))
コルムさんすごいなぁ。
こんな結末、思いつきもしなかったです。
コルムさんすごいなぁ。
こんな結末、思いつきもしなかったです。
> にゃんこ
ドキドキしてもらえたなら幸いです。
次回はまったく毛色を変えて1回読み切りです。
暑いからーなんかもうー頭回らないしー。
オークの仮面の下も蒸れ蒸れですよ。
取って涼んでるところを見られるかもしれませんよ。。?
> Harul
次書く奴を読んでもそういえるか楽しみです。。
あ、次回予告してしもーたw
> 時計
設定をほじくり返すと、
ヤグなんてサンドリア国王の葬儀に
弔問の使者出してる位礼儀正しいし。
亀はきっと鉱山荒らされなかったら
ずっとあそこから出てこねーんじゃね?と思う。
オーク恐るべし。
しかしこういう種族が進化して、最後に残るんだねきっとね。
> マゼさん
タルはゴブリンの中の人だから。
あれはパワードスーツだから。
オークとタルだとサイズ的に。。ほら。。なあ。うん。
> ももさん
もっと華麗に紹介して頂きたかったですわ!
わたくしの魅力が伝わらないのですもの!11
他のブログでも読んでこいプギャーでもいい。
たくましく育って欲しい。
ということでうちもリンク貼らせて頂きましたーん。
> ちぇしゃ
もっと怖いバージョンとか
もっと長いバージョンもあったのですがー。
なんかいまいち反応が鈍かったので
短めに切り上げました。
あんましお客さんのニーズに合わなかった模様。
ドキドキしてもらえたなら幸いです。
次回はまったく毛色を変えて1回読み切りです。
暑いからーなんかもうー頭回らないしー。
オークの仮面の下も蒸れ蒸れですよ。
取って涼んでるところを見られるかもしれませんよ。。?
> Harul
次書く奴を読んでもそういえるか楽しみです。。
あ、次回予告してしもーたw
> 時計
設定をほじくり返すと、
ヤグなんてサンドリア国王の葬儀に
弔問の使者出してる位礼儀正しいし。
亀はきっと鉱山荒らされなかったら
ずっとあそこから出てこねーんじゃね?と思う。
オーク恐るべし。
しかしこういう種族が進化して、最後に残るんだねきっとね。
> マゼさん
タルはゴブリンの中の人だから。
あれはパワードスーツだから。
オークとタルだとサイズ的に。。ほら。。なあ。うん。
> ももさん
もっと華麗に紹介して頂きたかったですわ!
わたくしの魅力が伝わらないのですもの!11
他のブログでも読んでこいプギャーでもいい。
たくましく育って欲しい。
ということでうちもリンク貼らせて頂きましたーん。
> ちぇしゃ
もっと怖いバージョンとか
もっと長いバージョンもあったのですがー。
なんかいまいち反応が鈍かったので
短めに切り上げました。
あんましお客さんのニーズに合わなかった模様。
Colmさんはこういうねっとりと暗部を想像させる文章が
とても冴えていて素敵ですね。
やはり読書傾向によるものなのでしょうか?
リアルに想像されてちょっと吐き気すら覚えました。
だがそれが病みつきになります。好きです。
ニーズにはぴったりでした!
とても冴えていて素敵ですね。
やはり読書傾向によるものなのでしょうか?
リアルに想像されてちょっと吐き気すら覚えました。
だがそれが病みつきになります。好きです。
ニーズにはぴったりでした!
> シャルさん
シャルさんもこの手の陰惨なの大好きですもんね!
判ってくれると思いました。
今後もニッチなニーズに応えるように頑張ります;;
シャルさんもこの手の陰惨なの大好きですもんね!
判ってくれると思いました。
今後もニッチなニーズに応えるように頑張ります;;
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オークは;;;;
見るたびに思い出しそうですー(;´ρ`)
でも、凄くドキドキしました。何度も読み返しちゃいました。
次回作も楽しみにしています^^